【2000.11.7 NOAH会津大会】


<プロローグ> TEAM N.D.M.の底力

 NOAH会津鶴ヶ城体育館大会。試合開始18:30。休暇中の採鉄場専務大蔵は,会津若松市の実家から悠々徒歩で会場入り。常務小沢は職場の同僚と磐梯町よりクルマで会場入り。そして社長の山杜は,珍しく定時で仕事を終え,郡山市から高速道路を利用し何とか試合開始までに会場入りする手筈となっていた。

最前列チケット  山杜は焦っていた。そう,普段なら定時で帰れない山杜だが,この日は定時には帰宅できる手筈だったのだ。しかし,やっぱり発生したトラブル。職場の駐車場へと走り,クルマに乗り込んだときには予定を20分もオーバーしていた。急いで帰って着替えねば・・・そのとき,山杜の携帯が鳴った。大蔵からのコールである。

 「今どこ?」

 当然「そろそろ高速にのるよ」という答えを予想していたであろう大蔵は,見事に裏切られることになる。

 「いま職場出るとこ」

 大蔵は会場に入らず,チケットを持って駐車場で待っている。郡山から会津若松までの距離,そして若松市内の帰宅ラッシュアワーを考えると・・・。

 「・・・ん,じゃ待ってるから」

 落胆が若干感じられる口調で大蔵が話す。しかし,山杜は力強く答えた。

 「なんとか(試合開始に)間に合わすから!」

 山杜は矢のように職場を飛び出し,アパートへ。スーツを畳むこともなく脱ぎ捨て,すぐにジーンズにトレーナーを身にまとう。「出動!!」

 イノセントアイズ&TEAM−NDMのステッカー輝く愛車セレス。響き渡るスーパーユーロビートのサウンド。市内をスラロームで抜けていき,いつも乗る場所より1つ手前のインターから高速に乗る。

 磐越道を走り抜け,会津若松インターより降りる。若松市内の渋滞を抜け,鶴ヶ城体育館に到着。駐車スペース探しに時間をくったものの。第1試合開始に見事間にあった山杜であった。

 「事故おこして来ねえから入ってっぺ!」

という酷いことをのたまっていた小沢だったが,大蔵は最前列のチケットを用意して山杜を迎えてくれた。

 いよいよ初のNOAH観戦。採鉄場一同にとっても大航海の始まりである。


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11.7 会津若松・鶴ヶ城体育館大会 観衆/1800人


第1試合 浅子覚 VS 小林健太 (1/20)

 この試合は第1試合らしく,実に基本に忠実な一戦だった。ただ,浅子をここで使うのはやはり納得行かない。まだ膝の状態の様子見のため,この試合なのだろうか?

 小林はオレンジのトランクス。名前が激似の小橋を継承するつもりなのか。善戦マンと呼ばれるようにはならないで欲しいが・・・。小林が空中殺法で見せ場を作るも,最後は順当に浅子がSDAでピン。しかし,ラ・マヒストラルを返した小林は立派だった。

○浅子 覚 12分12秒
SDAから
片エビ固め
小林健太●
浅子VS小林


第2試合 R・木村,百田光雄,森嶋猛 VS 永源遙,志賀健太郎,橋誠 (1/30)

 でましたプロレス国宝。あるいは重要文化財。この試合は賛否両論あるが,個人的には好きである。ただ,成長株の若手を入れるのは避けて欲しいところなのだが・・・。菊地も最前線復帰したし,メンバー不足は分かる。思い切ってドン荒川あたりを入団させて,木村百田VS永源荒川の固定カードにしてしまってもいいと思うのだが。

 入場時,永源は「男前」ではなく「一人前」Tシャツを着て入場。一方の百田はやはり「色男」。そしてラッシャーさんは黒いNOAH前掛け。あれは「エプロン」というより「金太郎の前掛け(腹掛け?)」と言った方がしっくりくる。グッズとして売り出せば売れるだろうか?

 試合は全日時代と変わらぬ「楽しいプロレス」。新聞紙を持っていくのを忘れたため,最前列の我々は非常に心配だったが,何とか被害を受けずにすんだ。森嶋,志賀,橋が当たるとやはり雰囲気が変わる。しかし,森嶋はデカイ。このメンバーでは1人反則と言った感じだ。永源さんの「はし〜!あし〜!」(橋,足を出せ)には笑いが起きていた。

試合は森嶋がアメイズインパクトで橋をピン。

 R・木村
 百田光雄
○森嶋 猛
14分58秒
アメイズインパクトから
片エビ固め
永源 遙
志賀健太郎
橋  誠●

<ラッシャーマイク>
「永源!秋だと思っていたら,今日はもう立冬ですね。会津の皆さん,お寒うございます。これからもNOAHを選手,社員共々宜しくお願いします」

ファミ悪


〜 休憩 〜

 ここで山杜&大蔵は職場の仲間と来ていた小沢と合流。とは言っても,小沢も3つ隣の最前列席に座っていたのだが。試合やノアグッズの話に花を咲かせながら,休憩時間をつぶした。特に山杜が試合開始に間に合ったことについては,小沢は相変わらず毒づいていた。


第3試合 池田大輔 丸藤正道 VS 秋山準 金丸義信 (1/30)

 NOAHを面白くする男,秋山登場。さすがに人気が凄い。対する池田・丸藤もWAVE発足に伴う気合いが感じられる。あのでっかい剣は見られなかったが,水ふきで魅了する大ちゃんであった。しかし,WAVEって基本理念が分からない・・・。

 試合はやはり秋山組が主導権を握る。金丸の動きがすこぶるいい。丸藤と金丸の絡みでは,すばらしい空中戦が繰り広げられた。大ちゃんも場外で「イナズマー!」を決めるなど目立とうとしたが,影は薄かった。秋山はこの試合,必要以上に動かず。試合のほとんどが金丸&丸藤で進んでいた。丸藤は芸術的な飛行を見せ,金丸は小気味いいまでのリズムのあるファイト。金丸ってこんなにいい選手になってたんですねえ。最後はボディプレス&ムーンサルトプレスで金丸が丸藤をピン。

 池田大輔
●丸藤正道
15分15秒
ムーンサルトプレスから
片エビ固め
秋山 準
金丸義信○

檄を飛ばす秋山

飛ぶ丸藤


第4試合 本田多聞,井上雅央 VS 大森隆男 高山善廣 (1/30)

 凄い人気だノーフィアー!入場時から観客はヒートアップ!多聞&雅央の存在が薄いこと薄いこと・・・。昨年の最強タッグリーグ戦と同一カード。注目ポイントはやはりノーフィアーの雪辱はなるか?といったところか。

 試合はほぼノーフィアーペース。セコンドの浅子も含めてこの試合のうるさいことうるさいこと。そのほとんどがレフェリーに対するヤジ。「レフェリーちゃんと見てろ!」「ロープブレイクじゃねーか!ルールしらねーのか!」一番笑ったのは高山の「あいつらわりーことばっかやってんじゃねーか!」でした。おまえが言うな,おまえが。さらに大森が多聞に対して攻撃した際の「この酔っぱらい!」などなど,とにかく叫び声がこだました一戦となった。

 雅央の「よっしゃ担ぐぞ!」は不発。昨日腰を痛めたのが響いたのか。その後の多聞のデッドエンドも仕掛けたが不発。最大の勝機はタモンズシューター。しかしカットにあって失敗。一方のノーフィアーは呼吸もぴったり。クロスボンバーと高山のチョモランマジャーマンが見られなかったのが残念だが,最後は会場大合唱「アックスボンバー!!」で大森が多聞を仕留め3カウント。試合後も大歓声の中引き上げる雪辱を果たしたノーフィアー。前アジア王者は本当に影の薄い一戦であった。

●本田多聞
 井上雅央
14分04秒
アックスボンバーから
片エビ固め
大森隆男○
高山善廣

えぐい攻め

アックスボンバー炸裂!


第5試合 三沢光晴,小川良成 VS 田上明,泉田純 (1/45)

 いきなり鳴り響く「ウルトラQ」,そして小沢常務が「ダメだよ,そんなかっこいい曲使っちゃ」と評した田上の「仁義無き戦い」。全体的に華やかさ,スマートさが目立ってきたNOAHにとってこの2人の存在は貴重だと思う。対するはWAVEの首領,三沢&小川。さすがに三沢人気は凄い。「みっさっわ!みっさっわ!」はいつも不朽か。

 この試合は非常にオーソドックスなもの。泉田の大物食いに期待がかかったが・・・。試合中に恐れていたことがついに炸裂!山杜&大蔵,鉄柵ホイップ初体験!!場外の直線上に座っていた我々。小川が飛んできた!ガッシャーン!!「怖ぇ〜〜っ!!」次の試合,もしベイダーがつっこんできたら・・・不安はさらに募った。試合の中心にいたのは泉田。鋭いラリアットなどで三沢を攻める。三沢&小川得意の例の連携もやすやすとは決めさせない(結局最終的には喰らってしまったのだが)。最大の勝機,いまだ,必殺いん石投下!しかしこれは三沢にあっさりとかわされ形勢逆転。最後はランニングエルボー1発で三沢が泉田を沈めた。

 しかし,やっぱり三沢にはテーマが見えない。田上も同じだ。ここはやはり,この2人にタッグ組んでもらって,世代交代の波を迎え撃つ存在になって欲しいと思うのは私だけだろうか?

○三沢光晴
 小川良成
13分44秒
ランニングエルボーから
片エビ固め
田上 明
泉田 純●
小川VS泉田

起きあがりこぼし!


第6試合 小橋建太,菊地毅,力皇猛 VS ベイダー,スコーピオ,R・スリンガー (1/60)

 いよいよメインイベント。会場を見渡すとほとんどの席が埋まっている。さすがに2,3階席は空席が目立つが,ここまで入れば上出来である。

 先に入場は外国人トリオ。現在契約外人レスラーはこの3人だけ。やはりもっと手駒が欲しいところだ。山杜にとっては7年前に函館市民体育館で見た以来のリッチ。そしてダンスのノリが最高のスコーピオ。しんがりは・・・すでに非常扉をたたくガンガンという音が聞こえている。テーマ曲と共に来た!来た!パイプイスを振り回しながらベイダーが来た!!危なすぎる!すかさず避難する山杜&大蔵。凄い迫力である。

 続いては小橋軍入場。初めて生で見る黒小橋に感動。かっこよすぎる。コールの後,おもむろにリングを降りたベイダーがリングサイドの観客席に乱入。イスを5〜6個リング内に投げ入れ,度肝を抜いた。怖すぎる。「まあまあお父さん落ち着いて」とベイダーに声をかける山杜の姿があった。とにかくこの日のベイダーはハイテンションであった。

 試合は終始外国人組ペース。やはりデビュー1年に満たない力皇と,ジュニアの菊地ではベイダー荷が重いか。やはり自然と小橋とベイダーの絡みに目がいってしまう。ベイダーが小橋に投げられたときなどはまさに圧巻。リング全体がバウンドした。あまりのド迫力。

 力皇も突っ張りを見せるなど見せ場を作ったが,最後はベイダーのチョークスラムに沈んだ。試合後は小橋がベイダーに指を指し挑発。三冠戦の遺恨再びと言ったところか。早く外国人の手駒を増やして,もっともっと日本人VS外国人が見たくなった一戦であった。やはり外人3人だけってのは寂しいよ。

 小橋建太
 菊地 毅
●力皇 猛
18分19秒
チョークスラムから
片エビ固め
ベイダー○
スコーピオ
R・スリンガー
苦悶の小橋

ベイダーチョップ!


<エピローグ> タダでは終わらない!

 興行は大変楽しいものだった。5月に観戦した全日本郡山大会とは全く違った。とにかく会場の雰囲気がいい。選手は実にのびのびと闘っているし,客も変なヤジを飛ばす客が居ない。「この団体はいいよ」大蔵がつぶやいた。メンバーが同じだった5月の全日ではこの発言はなかった。

 この後,山杜&大蔵と小沢は別行動をとることになった。小沢は職場の同僚と,会津若松市内の某チャンコ屋へ。そこは全日本プロレス時代からの一部の選手達の行きつけの店である。小沢はそこに予約を入れていたのだ。一方,予約のない山杜&大蔵は,会津若松駅前にクルマを走らせた。その目的は・・・?

 はてさて,3人を待ち受けていたものとは?番外編に続く!

(文責:山杜一平)

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