「ハセガワストア」




 「ストア」というぐらいだから,飲食店ではなく販売店である。通称「ハセスト」と呼ばれるこの店は,函館近郊にのみ存在するコンビニである。しかし,ただのコンビニであればこんな風に取り上げる必要はない。ハセスト名物は函館名物。目玉商品「やきとり弁当」を紹介する。

 ハセストは店内でやきとりを焼いている珍しいコンビニである。しかし,このやきとりを使ったその場で作る弁当メニューが存在する。それが「やきとり弁当」である。やきとりを焼く際に隠し味として使用しているのが「はこだてわいん」。非常においしく仕上がる。

 やきとり弁当には塩とタレの2種類が存在し,大きさも大,中,小の3種類がある。まず初めてこの弁当を買った人はふたを開けてびっくりするに違いない。「やきとり弁当」なのに,鶏肉が入っていないのである。入っているのは豚串函館近郊では,豚串も「やきとり」と呼ぶため,そのような状況になるのである(「やきとん弁当」と呼ぶのが妥当だろうか?)。

 ご飯の上に海苔が敷かれ,その上に豚串と野菜串が数本並ぶ。正式な食べ方は,まずふたを開け,やきとりの串を弁当箱の縁にある溝に乗せる。ちょうど串の持つ部分が弁当箱の外にはみ出る状態になる。再度ふたを閉め,ふたを押さえながら串を外に引き抜く。こうすると弁当箱の中に具だけが残り,串だけをはずすことができる。あとは食べるだけである。この弁当のふたにはサービス券がついており,5枚集めると小サイズ1個と交換できるという特典まで付いていた。

 味の方は地味においしい。1発のインパクトではなく,何度でも食べたくなるおいしさである。事実,学生時代は週1回「やきとり弁当の日」があった。午後1発目の講義があり,外にゆっくり食べに行けない日があった(水曜か木曜だった気がする)。そのときは,前の時間空いている友人に買ってきてもらったものである。講義室でみんなでやきとり弁当を頬張っていた懐かしい思い出である。


(番外編)疑惑のやきとり弁当


 大学を卒業ししばらく経ったある日,函館から釧路に移った「みっつ」からとある情報が入った。

「根室でもやきとり弁当見つけたさー」

 同じ商品名の別商品かと思ったが,どうやらそうではないとのこと。ハセストが根室にも出店したのだろうかと問いただすと・・・。

「パッケージから何からみんな同じ。味もほとんど同じなのさー。でも隠し味が『十勝ワイン』なんだわ。で,店構えもハセストと同じで,看板のマークもハセストそっくりなんだわ。でも,店の名前が『タイエー』って言って,『ダ○エー』のロゴとそっくりなのさー」

 その後,釧路に遊びに行ったときにその「タイエー」のコンビニ袋を見せてもらったが,あまりのパクリっぷりに開いた口がふさがらなかった・・・。根室までは行かなかったので食べることはできなかったが,今となっては是非食べておきたかったものである。

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