「夜の長距離ドライブ(悪夢の土曜日)」


 そう,Takaはウキウキしていた。 部活を気にせず久しぶりに札幌に行けること, 欲しい物が明日には手に入るかもしれないことからだろうか。 俺たちは,たわいもない話をしながら一路札幌へ向けてルート5をひた走っていた。


 あれは何処だったろうか。 約90km/hで快調に走っていたところ,道路の真ん中に何か白い色の物がいた。 しかし,もう,どうすることもできなかったTakaは,仕方なくそのまま走ることにした。 自分の車の腹の下を通そうとしたのだ。 しかし,その瞬間,ドカッ!ガリッ!というような音がした。 もっとも近づいたとき,この「物」動物のように見えた。


 その後,2人はあの「物」はいったい何だったのだろうかという話をしていた。 Takaは,あの「物」だと思い, 狸をひいてしまったことからウキウキしていた気持ちも醒め, 一気にブルーになったのだった。


 狸をひいたあと,Takaはしきりにそのことを気にしていた。 俺は,ナビシートに身を埋めていたため,あまり気にせずにのほほんとしていた。

「あれ(狸)死んでたよな。全く動かなかったもん。」

 Takaは,俺にそう話し掛けながらTaka自身にそう言い聞かせているようだった。 俺も,その意見に反対はしなかった。 事実,俺もTakaがひく前から狸は死んでいたと思っていたからだ。


 そうこうしているうちに,札幌に到着した。 俺たちは道中狸をひいたことを山杜に話した。 Takaは,狸をひいてしまったこと,それなりの悪路を走破してきたことで疲れ切っていたので, 明日の予定を確認してすぐに眠った。


 いやな思いをした一夜が過ぎ,俺たちは目を覚ました。 いつもの通り,俺たちはボーっとしながら午前中を過ごし,昼頃になってから活動し始めた。


 今日の目的はいろいろあるが,なんといっても買い物だ。 しかし,「腹が減ってはなんとやら」ということで,まずは腹ごしらえに, 何度か行ったことのある近くにある全国チェーンのカレー屋へ向かった。 注文をし,しばらく待っていた。


 いつもなら5分もすればテーブルに注文の品が揃うのだが, 待っても待ってもなかなか注文の品がこない。 しまいには,あとから注文した客の物が先に運ばれる始末だ。


 Taka

「(店を)出るか?」

と俺に行って来た。俺もそうしてもいいかな?とも思ったが, 腹が減っているのは事実だし,次の店を考えるのも面倒だったので迷っていた。 そんな様子の俺たちに気づいたのだろう。店員がテーブルまでやってきた。

「すみません,注文を取ったときに,無線の調子が悪くてうんたらかんたら。」

といった,訳の分からない謝罪をしていた。俺は 「100人も200人も客がいるわけでもなし,おまえが忘れてただけちゃうんか!」 と腹立たしくなったが, 「代わりの店を考えるのが面倒だ。」 という理由から,もう一度注文することにした。


 腹を立てながらも,空腹を満たした俺たちは,買い物をするべく札幌の中心へと車を走らせた。 どのメーカの商品にしようか,どの店で買おうかと悩みながらもTakaは目的のデジカメを買った。 俺は,何も言わずスッと買い物を済ませ,「おまえも買ったんかい!」と2人を驚かせようとしたが, 迷ってしまい,2人にばればれだった。 しかし,俺の目的の商品(プリンター)以外の7万もするソフト (Photoshop(旧バージョン)) をほとんど衝動買いのようにして買ったことには驚いているようだった。


 それぞれ目的の物を買い,みんな満足していた。 Takaはかねてからの念願だったデジカメを手にし, まるで子供のようにウキウキしながら, 車内でデジカメを,詳しい操作方法もわからずにいぢっていた。


 次の目的地は,俺たちは札幌でのおきまりのコース『パチンコ大会』だ。 結果,俺は3万ほど勝った山杜はプラマイ0だった。Takaは2万ほどのマイナスだった。

「こんなに負けるのであれば,他の欲しい物を買っておけば良かった。」

Takaは言っていた。


 俺たちは

「狸にたたられてるのかも?」

と口々に話していたが, Takaの不運はこんなことではすまなかった。 俺たちはパチンコ屋で合流したKeita(苫小牧在住)も含め, 4人で晩飯(回転寿司)を食い,山杜の部屋で大酒盛り大会となった。 その中で,Takaデジカメの説明書を読み, とりあえず,俺たちの写真を写そうとしていた。


 しかし,どうもデジカメの様子がおかしい。 電源を入れても,液晶部分にバッテリー不足を表す「電池マーク」が表示され,写せない。 しかも,すぐ,電源が落ちてしまうのだ。


 俺たちは口々に

「省電力機能が働いているんじゃない?」

とか

「サービスでもらった電池が古いんじゃない?」

とか

「電池が冷えて力が出ないんじゃない?」

など話していた。そこで,電池をこたつの中で暖めて使用してみた。 そうすると,何枚か撮ることができたが,今度はフラッシュがたかれシャッターは切れるものの, 液晶に何も表示されなくなった。 スマートメディアを抜き,俺のデジカメでロードしてみてもやはりダメだった。


 その結果,これは不良品だと判断し,明日また販売店へ行き, 商品を交換してもらおうということにして,それ以後,酒を飲み,寝た。


 日曜日,俺たちは早めに起き,そして,昨日の販売店へ向かった。 俺たちは商品交換を望んでいたが

「店員に故障と判断され,修理扱いにされたらどうしよう」

とみんな一様にドキドキしていた。

 しかし,店員はあっさりと不良品と認め,新しい商品と交換することになった。 昨日のトラブルで説明書を熟読していたこともあり, 操作方法をマスターしていたTakaは,車内でまた子供のようにウキウキして, あまり意味のない写真を何枚か撮っていた。


 そして,あまり美味しくないラーメンを食い, とりあえず腹を満たした俺たちは小樽までの渋滞にもまれながら, 俺はナビシートでしっかりと眠りながら6時間以上かけて函館へと戻った。


 Takaはにとってはとことんついていない札幌遠征だったが, デジカメが交換できてとりあえず良かったというところだろうか。

(文責:Taku)


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