【今,改めてTV中継30分枠を考える】


 「全日本プロレス中継」が「全日本プロレス中継30」になってから, 早いもので丸4年ほどになります。 もうすっかり慣れてしまいましたが,変わった当時はもの凄く短く感じた物でした。

 いったいたった30分で,どうまとめるんだろう。毎週1試合しか放送できないのではないか。 という思いがありました。そして,いざ30分になってみると,プロレスニュースは削られ, 前座の試合も削られ,放送される試合ですら途中が削られている有様でした。

 また,最近は無くなりましたが,30分を超える試合だった場合,2週に分けたこともありました。 あれはきつかったですね。「続きはまた来週!」これまでの流れを憶えていられるか! ここまで熱くなった気持ちをどうすりゃいいんだ!! どうしても納得いかなかったですね。

 また,仮に30分以内の試合だったとしても, 試合前のセレモニーや試合後の余韻などは削られてしまいます。 試合そのものを中継すれば事は足りるのですから,カットしても影響のない部分なのかもしれませんが, 実はこの部分,結構重要だと私は思うのです。

 セレモニー部分が印象的だった試合は,93年7月29日の三冠戦,三沢−川田戦でした。 当時はまだ1時間枠で,この試合も,入場シーンから放送されていました。 私は入場シーンの映像そのものよりも,ここで流れてきた若林アナの語りにしびれたのです。

「力道山のチョップに勇気を与えられ,馬場の16文に驚愕し,鶴田のバックドロップに息を飲み, そして今,三沢−川田宿命の対決に胸を躍らせる。王道プロレスは脈々と受け継がれて参りました。 三冠統一ヘビー級選手権試合です」

 というくだりから始まる若林アナの語り(記憶している範囲ですので間違いがあるかも), この後,川田,三沢の入場シーンに合わせて,それぞれの歴史が語られました。 特に川田の歴史は,その険しかった道のりが,入場テーマの「Holy War」にマッチして,じんと来ました。 「野生のままに我儘に,危険なまでにしなやかに!」という締めの言葉も印象的でした。

 また,試合後の余韻が印象的だった試合は,94年3月5日の夢のカード, 三沢・小橋組対ハンセン・馬場組です。 この試合,実は,私がはるばる北海道から武道館まで見に行った試合なのです。 三沢が馬場を押さえ,終了のゴングが鳴らされた後の会場内の興奮・感動は,言わずもがなでしょう。 この試合の中継は,60分枠をフルに使い,この1試合のみでした。 その結果,入場シーンから試合後の余韻まで余すことなく中継され, 武道館に来られなかったファンにも,素晴らしい感動を与えられたと思います。 特に終了後,三沢,小橋,ハンセンの3人で,倒れた馬場さんを抱き起こしたシーンは, 今でも脳裏に焼き付いています。そして,ハンセンの「ウィー!」で会場がひとつになった瞬間・・・。 若林アナの実況,百田さんの解説も素晴らしかったです。 私の中では,あの試合,そしてあの試合のTV中継は,過去No.1なのです。

 放送枠が30分になってから,セレモニーや試合後の余韻は,まず中継されなくなりました (勝者インタビューぐらいはありますが・・・)。 私のように,試合そのもの以外の部分も楽しみにしている者にとっては,物足りません。 でも,悲しいかな,その環境に慣れてしまってきています。 新しいファン層は,この中継が当たり前だと思っていることでしょう そういったファン層に,過去の中継を見てもらったら,どういった反応を示すことでしょう。 セガがスポンサーについた現在,放送1時間枠復帰の噂もあります(あくまで噂ですが)。 私は,放送する試合数ももちろんですが, それと同等に,セレモニーや試合後の様子の中継を望んでいるのです。 それをやるには,1時間枠は必要不可欠です。プロレスニュースもやって欲しい。 あれもチャンカンや最強タッグの星取り表をはじめ,情報提供には必要なコーナーだと思います。

 今,大きな話題を呼んでいる東京ドーム興行。 できればドームのTV中継あたりを境に,放送1時間枠復帰があって欲しいものです。 お願いしますよ,日テレちゃん!!

(文責:山杜一平)


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