【全盛期のジャンボ鶴田】


 先日,行きつけのレンタルビデオ店が1本100円サービスをやっていたので, この機会に以前から見よう見ようと思っていた,「三沢光晴・五冠王への軌跡」を 5本まとめて借りてきました。タイガーマスク時代から超世代軍結成,そして三冠 奪取,最強タッグ優勝までを振り返ってみました。今や全日本のエースである三沢に も,こういう時代があったんだよなあ,最近ファンになった人たちには信じられん事 なんだろうなあ,と思って見ていました。しかし,このビデオを見ていて強く印象に 残ったのは,三沢ではなく,ジャンボ鶴田の方でした。

 今でこそ内蔵を煩い,第一線を退いた鶴田ですが,全盛期の強さは,まさに怪物の ようでした。当時ビデオデッキの無かった我が家では,その鶴田をテープに記録して おくことができませんでした。従って「とにかく強かったなあ」というイメージは あるものの,そのファイト内容がぼやけてしまっていて,頭の中に鶴田の映像が うまく浮かんでこなくなっていたのです。

 次代のエースとなるべく日夜奮闘する三沢光晴。その前に立ちはだかる完全無欠の エースジャンボ鶴田。ビデオの中には,私が中学,高校の頃に繰り広げられていた 光景がありました。強い!強すぎる!現在の三沢とはまた違う強さです。有無を言わ せないというのでしょうか,真正面から正攻法でぶつかったのでは,まず勝てそうに ありません。

 豪快なジャンピングニー,ジャンボラリアット,フライングボディシザ ースドロップ,そして何よりも,ルー・テーズ直伝のヘソで投げるバックドロップ。 ウイリアムスのバックドロップは,角度は恐ろしいものの,ゴツゴツした感じで,力に 任せて引っこ抜いているという感じですが,鶴田のバックドロップは,落差や角度, スピードもさることながら,美しささえ感じられます。そのバックドロップをくらい 続けた三沢は,「これがプロレス−四天王は語る−」(主婦の友社発行)で,こう言って います。「今のウイリアムスよりも落差もスピードも上だったんじゃないですかね」と。 鶴田対川田の三冠戦,フィニッシュとなったバックドロップホールドには戦慄が走りました。 川田の身体がぐったりしていて,返すどころか全然反応がないのですから。こうして 久しぶりに全盛期の鶴田を見直してみて,「怪物」と呼ばれた所以を再確認致しました。

 だからこそ,当時の三沢は,シングルマッチで初めて鶴田からピンフォールを奪った とき,相当嬉しかったんでしょう。リング上で涙する姿が物語っています。たとえ返し技で 獲った3カウントだとしても,怪物鶴田から獲ったことには変わらないのですから。あのころの 若手レスラー(=今の四天王)たちにとっては,馬場越えよりも,むしろ鶴田越えが最大目標 だったのではないかと思います。それだけに,鶴田の戦線離脱には,鶴田本人はもとより, 若手レスラーたちもショックだったことでしょう。でも,このことによって世代交代が非常に うまくいったのも事実ですが・・・。

 このビデオは他にも,三沢・川田組や鶴田・田上組なども見返すことができ,大変面白 かったです。そういえば田上って,昔はリングに上がっただけでブーイングの的になって ましたよね。なんだか懐かしくなってしまいました。

 とにかく,久しぶりに「怪物・ジャンボ鶴田」を見ることができて,非常に満足でした。 次は「ジャンボ鶴田・怪物十番勝負」を5本まとめて借りよう・・・と思ったのですが, なぜか置いてない・・・(;_;)。リクエスト出して,入荷したら借りようと思ってます。

(文責:山杜一平)


    戻る