【1998.6.5 全日本札幌大会】


 6・5札幌大会行って参りました。 世界タッグをメインに合計8試合がラインナップされ,素晴らしい大会となりました。 何はともあれ,まずは結果からお知らせします。

98スーパーパワー・シリーズ 6月5日(金)
北海道・札幌中島体育センター(観衆:3800人=満員)
第1試合:20分1本勝負
 小川良成
●森嶋 猛
9分02秒
ハワイアンクラッシャーから
片エビ固め
M・モスマン○
橋  誠 
第2試合:30分1本勝負
○浅子 覚
 金丸義信
11分55秒
S・ドライバー・浅子から
片エビ固め
S・デルフィン 
愚乱・浪花●
第3試合:30分1本勝負
 G・キマラ
○泉田 純
11分52秒
いん石から
片エビ固め
B・ダンカンJr 
D・ヒース●
第4試合:30分1本勝負
 ジャイアント馬場
○ラッシャー木村
 百田光雄
13分55秒
グラウンド・コブラツイストで
3カウント
渕 正信●
永源 遥 
菊地 毅 
第5試合:30分1本勝負
 井上雅央
●志賀賢太郎
12分56秒
スミス式リバースDDTから
片エビ固め
W・ホークフィールド 
J・スミス○
第6試合:30分1本勝負
△秋山 準 30分00秒
時間切れ引き分け
S・ウイリアムス△
第7試合:30分1本勝負
●大森隆男
 本田多聞
12分35秒
パワー・ボムから
エビ固め
G・オブライト○
高山善廣 
第8試合:世界タッグ選手権試合 60分1本勝負
 川田利明
○田上 明
30分26秒
ダイナミック・ボムから
エビ固め
小橋健太●
J・エース 
※ 王者組が2度目の防衛に成功。

 試合前には,誕生月撮影会, また,川田・田上組との五冠ベルト付き撮影会が行われました。 私も,ベルトを両肩に掛けてもらい,川田・田上両選手と写真を撮らせていただきました。 感激の極みです。今から写真を現像するのが楽しみです。

 試合開始は6時半の予定でしたが,武道館以外で初めて行われた, チャリティーオークションが長引き,15分ほど押してしまいました。 武道館のオークションよりは,人数が少ない上に, 地方会場なので武道館よりマニアやコレクターがあまりいなく, 値段はさほどつり上がりませんでした。 主なところでは,小橋選手の25周年記念武道館大会で着たジャンパーが35000円, 田上選手の入場用ジャンパーが10000円,川田選手の試合用タイツが26000円, 三沢選手の入場用ジャンパーとリングシューズが40000円, 馬場選手のスニーカーが40000円でした。 首都圏の皆さんから見れば,「何でそんなに安いの?」という感覚だと思いますが, 地方ということで,勘弁して下さい。

 それでは,乱文ではありますが,全試合の経過を含めた,私なりのコメントをどうぞ。


第1試合

 新人2人を小川とモスマンがどうリードするかが見どころ。 私にとって,森嶋と橋を見るのはこれが初めてでしたので,楽しみでした。 2人とも打撃に体重が乗っていなかったり,ロープに振ってからのタイミングが悪かったりと, まだまだ未熟でしたが,新人らしい一生懸命のファイトが好感持てました。 第1試合ということか,あまり小川やモスマンのリードが見られなかったのが残念です。 しかし,モスマンは厳しいですね。新人にそこまでしなくても・・・という印象がありました。 最後は,必殺ハワイアンクラッシャーに森嶋が沈みました。新人にあの技を出すとは・・・。 しかし森嶋って,体格といい顔といい,田上にそっくりですね。将来有望かもしれません。


第2試合

 みちプロ全日初参戦という,注目のカードでした。 元々札幌にはみちプロファンが多いため,会場全体がもの凄い歓迎ぶりでした。 試合はジュニア戦士4人による,スピーディかつアクロバティックなものになりました。 デルフィンと浪花は,試合開始早々からエンターテインメントプロレスを見せ, それに浅子,金丸も応え,会場が沸きに沸きました。 「明るく,楽しく,激しく」といった全日の方針から見ても, デルフィンと浪花は参戦するのにふさわしい選手のように思えました。 浪花のカニ歩きを金丸がドロップキックで落としたり,デルフィンの浅子への急所攻撃など, 名場面がたくさん生まれました。 デルフィンが浅子にスイングDDTを決め,デルフィン・クラッチで勝負ありと思われましたが, ここは金丸がカット。 最後は浅子と浪花が攻防を繰り広げ,浪花もフランケンシュタイナーなどで追い込みましたが, 浅子が宝刀,浅子ドライバーを決めて3カウント。凱歌は全日軍にあがりました。 正直言って,この対決は1回だけではもったいないです。 みちプロ勢の定期参戦が望まれる1戦でした。


第3試合

 この試合は,キマラが特に張り切っていました。観衆も,キマラの動きに注目していたようです。 やはりあの巨体は目立ちますね。重量感溢れる攻撃にどよめきが起こっていました。 泉田が抱え上げ,キマラがトップロープから飛ぶという,合体ネックブリーカーには, 驚きの歓声があがっていました。 一方のダンカン・ヒース組もそつなく連携をこなし,攻めていましたが,インパクトはいまいち。 ダンカンのプランチャが飛び出したくらいでした。 最後はいん石2連発で,泉田がヒースをピン。キマラの「ウナラー!」が会場に響いていました。


第4試合

 この試合については,何も言うことはないでしょう。 いつも通りの,楽しいプロレスを見せてくれました。無くてはならないカードです。 私の近くに座っていた,全日初観戦らしいお客さんは,このカードを非常に気に入ったようで, 「腹筋が鍛えられるー」と大爆笑していました。 「馬場さん凄い!でかい!遠近法無視してるよー!」と言っていたのも印象的でした。 ただ,菊地のキレ具合が,この日はあまり見られなかったのが残念でした。 ラッシャーが渕をグラウンドコブラで3カウント。 ラッシャーさんのマイク 「渕,お前このごろ何を言うにも”だっちゅーの”ってつけるのはなんだ!」 には笑いました。


第5試合

 雅央・志賀組がアジアタッグ王者組の牙城に挑みました。 しかしやはり壁は厚く,志賀がスミス式リバースDDTに沈みました。 雅央,志賀はいつも通りのファイト。「おっ!」というインパクトは残せずじまいでした。 志賀にはあすなろ育成タッグリーグの時のような,観客をうならせる試合をもっとしてもらいたいです。 ウエイトも増えないようですし,ジュニア路線でいいのでは?と思ってしまいます。 上背はあるんですけど,太らない体質なんでしょうね。 雅央も,ウルフにアルゼンチン・バックブリーカーを仕掛けましたが失敗。 あとはインパクトいまいちでした。 一方,ウルフ・スミス組ですが,やはりスミスは巧いです。 試合の流れを的確につくっていきます。 それに対してウルフは,パワーのアピールばかりで,もうひとつ何かが足りません。 なんかラクロス時代の方が,試合の組み立てうまかったような・・・。 この日のウルフは,ジャイアントスイングもターボドロップ2も出さず。 ターボドロップ1は出ました。


第6試合

 カーニバル公式戦では引き分けとなったこのカード。 ウイリアムスがWWFへ移籍する前の決着戦,といった意味合いでしょうか。 このカードがセミファイナルかと思いましたが,セミ前に組まれました。 試合開始5分までは,アマレススタイル,10分までは力比べやチョップ合戦と, 静かな立ち上がりとなりました。 秋山はまだしも,ウイリアムスらしからぬ立ち上がりと言っていいかもしれません。 日本でのラストファイトを,じっくり楽しもう,ということだったのかもしれません。 こういう立ち上がりは,総じて試合が長くなります。 私はこの時点で,制限時間を思わず確かめ,引き分けを危惧しました。

 15分を過ぎたあたりで,ウイリアムスが秋山をリフトアップし, そのまま無造作に落とす自由落下技を放ち,秋山は不自然に着地。 それによって膝を痛めたらしい秋山に対し,ウイリアムスは膝責めを敢行。 ますます試合が長引きそうな気配になってきました。

 20分頃,ウイリアムスはオクラホマスタンピードを仕掛け, 1度目はロープを掴まれ阻止されたものの,2度目のトライで成功させました。 これをカウント2で返されると,なおもしつこくオクラホマを狙います。 思えば全日参戦当初,ウイリアムスのフィニッシュホールドは,この技でした。 最後となるかもしれない全日マット,この技で決めたかったのかもしれません。 しかし今の秋山からこの技でピンを取れるほど甘くはありません。 対角線を走る途中で,秋山はウイリアムスの後方に着地。 すると驚くことに,ウイリアムスはかつてのパートナー・エースの技, エースクラッシャーを仕掛けたのです。 全日マットでの自分の歴史をこの勝負で再現するかのようなウイリアムスのファイトでした。 ウイリアムスは続けてドクターボムをいい角度で決めますが,これもカウント2。

 ここから秋山が反撃に出ますが,時間は25分を経過。場外に逃げるウイリアムス。 時間切れを焦る観客からは口々に「秋山あげろー!」の声が叫ばれます。 しかし秋山は,まず場外でエクスプロイダーを一閃。 その後リング上にあげ,ダイビングしてのニーアタック, ダイビングしての後頭部エルボーとたたみかけ,満を持してのエクスプロイダー! これがカウント2で返され,残り時間3分のコールが告げられました。 もう一度エクスプロイダー,そして垂直落下ブレーンバスターを狙いますが, 逆にウイリアムスに返されます。

 残り時間1分。ウイリアムスはついに最後の切り札,殺人バックドロップを放ちますが, 秋山が自らマットを蹴ったため,やや回転しすぎ,致命傷とはならず。 両者何とか立ち上がり,お互いバックの取り合いになりますが,ここで時間切れのゴング。 縺れるようにコーナーに倒れ込みました。

 試合後,観客席からは,決着が付かなかったことに対する落胆の声があがっていました。 序盤のゆっくりした展開がもう少し短かったら,確かにそう思います。 しかしこの引き分けは,秋山はもちろん,ウイリアムスも納得いっていないはずです。 これの引き分けが,近いうちにウイリアムスが戻ってきてくれる理由にならないかな, そう思わずにはいられないのです。 マット上で握手を交わした両者。そのとき,ウイリアムスは指を1本たて,何事か話していました。 いつか必ずもう1度再戦しよう,そう言っていたように思えてなりません。

 花道を引き上げる秋山を,赤コーナーに登り,いつまでも見送っていたウイリアムス。 秋山の姿が消えると,札幌のファンにお別れをするように大きく手を振り, 拍手の中TOPポーズをつくりました。 そして深々と一礼すると,ファンの群がる花道を引き上げていきました。 スティーブ・ウイリアムス,今までいい試合を見せてくれて本当にありがとう! そして,戻りたくなったら,いつでも戻ってきて下さい。歓迎いたします!


第7試合 セミファイナル

 個人的には,大森と高山の絡みが楽しみだったこのカード。 期待通り,大森は高山に対して凄まじい対抗意識を燃やしていました。 先発は大森と高山。ゴングと同時に大森がラッシュ。高山も蹴り中心に応戦します。 大森が必要以上に高山を挑発していました。 オブライトと本田の絡みになると,頭突き中心に攻める本田に対し,オブライトはグラウンドで勝負。 双方の持ち味が出ていました。 本田はオブライトをブレーンバスターで投げきり,STFを仕掛けるなど,見せ場を作りました。 高山に対しても得意の頭突きで,鋭い膝蹴りに対抗していました。 大森は高山に対し,ミサイルキック,エルボースマッシュとたたみかけ, ダイビング・ニーで勝負をかけようとしますが失敗。 逆に代わったオブライトに人間風車で投げられ,フルネルソン・スープレックスを仕掛けられます。 オブライトは無理だと悟るや否や,なんとコブラクラッチ・スープレックスに移行。 ウイリアムス共々,エースの技を拝借していました。 思えばオブライトは,対エースシングル戦2連敗中。 しかもやられた技がこのコブラクラッチ・スープレックスなので,威力を認めている,ということでしょうか。 このスープレックスで真っ逆さまに落とされた大森は, 続けて食らった高角度パワー・ボムを返すことができませんでした。

 なんか,大森が1人でばたばたして,1人で負けた印象があります。 対抗意識を燃やすのもいいのですが,もう少し試合の組み立ても考えなければ・・・。 いまだにアジアアジア言ってないで,世界に目を向けて,飛躍して欲しいところなのですが・・・。


第8試合 メインイベント

 五冠王川田のタイトル死守試合第1弾。 奇しくも,昨年のS・パワーシリーズ札幌大会と同一のカードとなりました。 昨年は小橋が田上をラリアットで沈め,世界タッグを奪取しています。 川田・田上組としては,2年続けて敗北は許されないところ。 小橋・エースも,1月の同一カードでタイトルを奪われているそのリターンマッチ。 最近低迷するGETの再興のためにも,是が非でもベルトが欲しいところです。

 セミまででもの凄い熱闘が無かったせいか,観客はまだ疲れておらず, ボルテージはピークに達していました。 選手入場,ベルト返還セレモニーの後,選手コールでは,この日1番の紙テープが注ぎました。 余談ですが,札幌でもすっかり「キョーヘイ」コールは定着しましたね。

 先発は観客の要望をうけてか,川田と小橋。 次週の三冠戦をどれだけファンが期待しているかが伺えます。 のっけからビンタ合戦,チョップ合戦と,熱い展開になりました。 ブレーンバスターの掛け合いを小橋が制すと,エースにスイッチ。 川田も田上にタッチし,田上とエースの場外戦となりました。

 5分が経過し,再び川田が出てくると,エースが劣勢に追い込まれます。 しかし何とか切り抜け,小橋へスイッチ。 ここで小橋が田上に対して猛攻を見せます。しかし田上も蹴りを返し, 王者組は速いタッチワークで小橋を攻めます。このあたりで10分が経過。 川田の蹴り,田上のアトミックホイップ, そして田上が小橋に対し,エプロンからの奈落ノド輪地獄落としを仕掛けました。 踏ん張る小橋を痛めつける川田。しかしここはエースがカットし,小橋は難を逃れます。 リング内に戻った小橋は田上にボストンクラブ。 川田がチョップや蹴りで救出に入るも,小橋はしぶとく離しません。 ならばと川田が反対側のロープに走り,靴底蹴りを見舞おうとしたその瞬間, 技を解いた小橋が走り込み,早くも川田にラリアット一閃! 川田は見事に一回転し,その後しばらく戦線離脱を余儀なくされました。

 15分を回って完全な2対1ができあがり, 小橋とエースは,カーニバルで負傷した田上の足に照準を絞り始めました。 低空ドロップキックや,本部席の机でのニークラッシャー,小橋の足四の字など, 容赦ない足責めが続きます。 足四の字はカーニバルで川田に負けた技です。田上も嫌な思いがよぎったことでしょう。 よろよろとリングに上がってきた川田が何とかカットするも,エースの一撃でまた崩れ落ちる始末。 ダメージは相当濃いようです。

 しかし20分手前のあたりで,田上が小橋にバックフリップを決め,ようやく川田にスイッチ。 何とか回復した川田は,怒りのキック攻撃。川田復活か,と思った矢先, 小橋がランニングネックブリーカードロップを決め,エースに渡すと, エースはコブラクラッチの体勢へ。これは川田が何とかクリア。 ならばとエースは,川田をコーナーに詰め,ラリアット連弾。 これを川田がするりとかわし,バックドロップで投げ捨てます。 しかしエースは,走り込んできた川田をエースクラッシャーに捉え, コブラクラッチ・スープレックスで真っ逆さまに投げ捨てました。 フォールの体勢,決まるか。田上がカット。 川田のタッチを受けた田上が,エースに裏ノド輪フェースクラッシャー。 そしてトップコーナーに据えての大車輪ノド輪落とし。カウントは2。 セカンドロープからのダイビングキックもカウント2で返されます。 ならばと田上は,起きあがりこぼし式のノド輪落としへ。 しかし,2発目をエースクラッシャーで返されます。

 25分経過。田上の猛攻をしのいだエースは小橋にスイッチ。会場は大歓声に包まれました。 小橋は田上をロープへとばし,待っていたエースがロープを挟んでのエースクラッシャー。 小橋は田上の背後から腕をとり,投げっぱなしタイガー・スープレックス。 そしてバックドロップとの合体エースクラッシャー。カウント2。 パワーボムからのジャックナイフ固めも,田上はカウント2で返しました。 ここで小橋はコブシを握り,ムーンサルトへ。 しかし,コーナーに上ったところで川田に蹴り落とされ,失敗。 こうなれば最終兵器の熱血剛腕ラリアットしかない,と仕掛けるもかわされ, カットに入ってきた川田のジャンピングハイキック,垂直落下バックドロップの餌食となってしまいます。 エースを場外に落とした王者組は,パワーボムとノド輪の合体技。小橋カウント2で返す。 ここで田上は,私と友人のK.O氏が「愛のないジャーマン」と名付けた, グシャッという感じのブン投げジャーマン。 そしてダイナミック・ボムを仕掛けるも,エースのカットで失敗。 ここで田上が,なんと小橋にかんぬきスープレックス!! 川田をして「凄いかんぬき」と言わしめるあのかんぬきから投げられたのでは, たまったものではありません。 その後,小橋はノド輪,ハイキックをカウント2でしのぐも, 田上は満を持してのダイナミック・ボム!! もの凄い角度で小橋の身体が叩き付けられ,文句無しのカウント3。 川田に痛めつけられたエースには,カットに入る余力は残されていませんでした。 いつのまにか,時間は30分を越えていました。

 試合内容は,かつての四天王タッグ対決にも匹敵するような,素晴らしいものでした。 勝負のあやは,小橋のラリアットが早く出すぎたことでしょうか。 ただ,そのラリアットで川田は意識朦朧,敵陣コーナーに待機してしまう場面もありました。 そうなると,やはり最後は田上の底力ということになります。 川田が「ここぞって時強い」と賞賛する田上。川田は今回も田上に感謝していることでしょう。

 何はともあれ,まずは五冠を死守した川田。次週三冠戦でも死守できるのか? 一度も防衛しないまま負けるわけにはいかない川田,札幌に続き2連敗は許されない小橋。 札幌の世界タッグ,王者組防衛により,三冠戦も俄然面白くなってきました。


 というわけで,拙い文章ではありましたが,観戦記如何でしたでしょうか。 ご意見,ご感想などいただけたら幸いです。

(文責:山杜一平)


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