【1997.11.27,28 全日本札幌大会】


 札幌2連戦行って参りました。はっきり言って客の入りはいまいちでしたが,試合内容については楽しめました。「これぞ 全日本」という試合が多かったですね。何はともあれ,まずは結果からお知らせします。


               97世界最強タッグ決定リーグ戦 11月27日(木)
            北海道・札幌中島体育センター(観衆:4.050人)満員 

  第1試合:30分1本勝負
                           8分47秒
  ○菊地 毅                火の玉ボムから         金丸義信×
                               エビ固め 

   第2試合:30分1本勝負
                               10分52秒
  ○浅子 覚               ラ・マヒストラル        志賀賢太郎× 

   第3試合:30分1本勝負
                               14分28秒
     大森隆男             タモンズパワードから       小川良成  
   ○本田多聞                  エビ固め          井上雅央×
 
   第4試合:30分1本勝負
    G・馬場              13分34秒          渕 正信
     R・木村           逆さ押さえ込み          永源 遥○
  ×百田光雄                                            泉田 純 

   第5試合:30分1本勝負
  ○W・ホークフィールド        16分13秒          B・ウインダム
     J・スミス            ターボドロップ2から       J・ブラッドショー 
     G・キマラ                 片エビ固め          M・モスマン×

  第6試合:30分1本勝負(公式リーグ戦)
                                 18分53秒
     S・ハンセン        バックドロップから        S・ウイリアムス○ 
   ×B・ダンカンJr.          片エビ固め          G・オブライト 
 
   第7試合:30分1本勝負(公式リーグ戦)
     田上 明                  30分00秒          小橋健太
    川田利明                時間切れ引き分け        J・エース
   
   第8試合:30分1本勝負(公式リーグ戦)
                                 21分34秒
     三沢光晴              エクスプロイダーから       ハヤブサ× 
   ○秋山 準                   片エビ固め          新崎人生


        97世界最強タッグ決定リーグ戦 11月28日(金)
             北海道・札幌中島体育センター(観衆:3.950人)満員 

   第1試合:30分1本勝負
                                  9分56秒
   ○志賀賢太郎       スワンダイブ式ボディプレスから     金丸義信×
                                片エビ固め

   第2試合:30分1本勝負
                                  8分19秒
   ○菊池 毅         サムソンクラッチを切り返して     井上雅央×
                                 エビ固め

   第3試合:30分1本勝負
                                 11分53秒
   ×浅子 覚             バックドロップホールド       小川良成○

   第4試合:30分1本勝負(ハル園田メモリアルマッチ)
     G・馬場                15分33秒                    R・木村
   ○百田光雄                  回転エビ固め         永源 遥×
     渕 正信                                                泉田 純 
  
   第5試合:30分1本勝負
  ○S・ハンセン                 12分37秒          B・ウインダム
    B・ダンカンJr.      ウエスタンラリアットから      J・ブラッドショー×
    G・キマラ                  片エビ固め          M・モスマン

   第6試合:30分1本勝負(公式リーグ戦)
                                 11分23秒
     大森隆男           ダイビングボディプレスから      W・ホークフィールド○ 
   ×本田多聞                   片エビ固め          J・スミス

   第7試合:30分1本勝負(公式リーグ戦)
     小橋健太                    30分00秒          S・ウイリアムス
     J・エース           時間切れ引き分け        G・オブライト 

   第8試合:30分1本勝負(公式リーグ戦)
                                22分25秒
     三沢光晴              ストレッチプラムから       川田利明○
   ×秋山 準                   片エビ固め          田上 明


 試合経過やコメントなどは,スポーツ紙やプロレス誌を読んでいただくとして,ここでは私なりの感想を書きたいと思います。 まず,1日目の方から。

 この日は朝は暖かかったものの,午後になると急激に気温が下がってきまして,試合開始の頃には冷たい雨がかなり降って いました。そのせいか客足がのびず,特リンや2階自由席はおおかた埋まっていたものの,リングサイドはがら空きの状態でした。 そのぶん変なヤジを飛ばす客が少なかったので良かったと思いますが。

 まず驚いたのは,三沢組対ハヤブサ組がメインのカードだったことです。優勝決定戦を左右する川田組対小橋組がメインだろう とふんでいたのですが,どうやら話題性をとったようですね。その川田組対小橋組はドロー。とてもすばらしい試合でしたが, 両チーム共,もう引き分けも許されない状況になってしまいました。いやが上にも2日目への期待が高まりました。

 メインは三沢と秋山が懐の深さを見せて勝ちました。20分ぐらいまでは,ハヤブサ・人生組の攻撃を受けきってましたね。 大技は決まるものの,「危ない!」と感じたシーンは,私としてはなかったように思います。三沢が人生の念仏パワーボムを ヘッドシザース・ホイップで切り返すといった,私が見たかったシーンもありました。ただ,20分からまりの人生の念仏 パワーボムからハヤブサのファイヤーバード・スプラッシュといった連携は,「あわや」という場面を作り出し,場内をおおいに 沸かせました。これで「やばい」と感じた三沢組は,三沢のタイガードライバー,秋山のブルーサンダー,エクスプロイダーと 大技をラッシュし,ハヤブサからピンを奪いました。試合後,あれほどハヤブサを認めていなかった秋山が,自らハヤブサに握手 を求めたシーンが印象的でした。秋山にも,ハヤブサ・人生の気持ちが伝わったということでしょうか。人生もとまどいながらも 秋山の握手に応じ,三沢とも握手を交わしました。その後,花道を引きあげていく三沢組に向かって,人生は手を合わせていました。 馬場社長に全日参戦を懇願したときと同じ気持ちが,その合掌の中にあったのではないでしょうか。

 この日考えたことは,エースとダンカンの違いでした。ハンセン組対ウイリアムス組の試合。未だに4強からの白星がない ハンセン組。ここらで一発喰ってほしい,と誰もが思っていたのか,観客はほとんどハンセン組を応援していました。ハンセン組を, と言うよりは,ハンセンを応援していたと言った方が正しいかもしれません。ダンカンが出てくると「早くハンセンにタッチ しろ!」,ハンセンがダンカンにタッチを求めると「あぁー(落胆の声)」「何でタッチすんのよ!」という声が,一斉にあがって いました。結果はダンカンが好フォローを見せる場面もありましたが,せっかく来た流れを場違いな間接技で自ら壊してしまい, ウイリアムスのバックドロップの前に惨敗を喫してしまいました。一方のエースですが,小橋がタッチを求めても,落胆の声を あげる観客はいません。むしろ「エース決めろー!」という声が飛びます。ここがエースとダンカンの違いでしょう。要は, フィニッシュを決められるレスラーか否か,ということだと思います。数年前のエースだったら,ダンカンと同じ扱いを観客に 受けていたかもしれません。しかし今や世界タッグ王者。田上やウイリアムスを自らの手で撃破した実績が物をいっています。 ダンカンが上に行くためには,フィニッシュを任せられるレスラーになることが至上課題でしょう。「2人どちらもピンが獲れる チームは,やはり強いな」と感じた1日目でした。

 さて2日目は,ハヤブサ,人生が参戦せず,フレッシュさは薄れましたが,公式戦は天王山。この日の試合の結果で優勝戦の カードが決まると言ってほぼ間違いないという,見逃せないカード編成となりました。私は1日目よりも客が入っていると思った のですが,主催者発表では少なかったようです。この日はヤジを飛ばすわけではないものの,耳障りな声援をする客が1人いて, 試合中に菊地が声を荒げる場面もありました。他の客からも,明らかに不評を買っており,「帰れ!」との声も飛んでいましたが, 公式戦の熱い試合展開の中,大声援が飛び交うようになってからは,その客の耳障りな声も気にならなくなっていました。

 公式戦の他には,ハル園田メモリアルマッチがあり,いつものファミリー軍団対悪役商会の渕とラッシャーを入れ替えた形で 行われました。久しぶりの義兄弟対決や,渕と永源のやりとり,相手を間違えるなど爆笑の連続で,おおいに楽しませて頂き ました。特に永源は張り切ってました。

 公式戦ですが,まず大森組対ウルフ組。待ち望んだウルフのジャイアントスイングがついに飛び出し,スミスの素晴らしい アシストもあって,ウルフ組が快勝。大森,本田としては,大技を出す前にやられたという感じで,悔いの残る結果となりました。

 小橋組対ウイリアムス組の試合はドロー。残りの公式戦のカードから考えて,この2チームの優勝戦進出は絶望的となりました。 それにしてもウイリアムス組は試合運びが下手ですね。勝利のためにゴング前に奇襲をかけて,小橋に狙いを定めたまでは 良かったものの,小橋に粘られて,後半自分たちのスタミナが切れてしまってました。一方の小橋とエースも,前半のダメージが 大きく,試合を決めるまでに至りませんでした。実際,20分経過したあたりから試合がだれてましたね。ウイリアムス, オブライトは,スタートダッシュが効けば,勢いでそのまま行ってしまいますが,逆に効かなかった場合,スタミナ面で不利に なって,後半ひっくり返されるという,かつてのベ○・ジョ○ソンのような弱点を持っていると思います。何にせよ,大味です よね。

 メインは,武道館行きがほぼ確定している三沢組と,負けたら脱落する川田組の対決。勝負のポイントとなったのは,前半 に痛めた秋山の腰でした。開始5分ぐらいで,三沢に断崖奈落ノド輪を仕掛けた田上を秋山がカット。次の瞬間,秋山は田上に 高々と抱え上げられ,本部席の机に叩き付けられました。机は真っ二つになり,秋山は腰を強打。ここから,見てる方が痛いと 感じるような腰責めが始まりました。川田のサッカーボールキック,田上のアトミック・ホイップに秋山がリング上をのたうち 回る場面もあり,とにかくむごかったです。三沢のフォローも及ばず,最後は川田が,秋山の腰をこれでもかとひねったスト レッチプラムから押さえ3カウント。川田組が優勝戦線に残りました。この結果,優勝戦は去年と同じ,三沢組対川田組となる ことが濃厚となりました。

 2日目は1日目ほど考えさせられたことはありませんでしたが,やはり全日本のタッグは,クオリティが高いな,と思いました。 じっくりと試合を見物しようと思っていたのですが,いつの間にか大声で声援を送っている自分がいるのですから。引き込まれる 何かがあります。また,痛みの伝わるプロレスだと思います。メインの試合では,秋山の腰の痛さがありありと伝わってきました。 ああいう時って,つい「いてててっ」とつぶやいちゃうんですよね。

 最後に,ウルフの入場テーマについて。かっこいいですね。初めて聞いたんですけど,あれってバーチャファイターのウルフの テーマ曲なんでしょう?やっぱりああいう格闘ゲームの音楽っていうのは,戦いのテーマな訳ですから,レスラーの入場には ぴったりハマりますね。こんどレンタル屋でバーチャファイターのCD借りてきて,フルコーラス聴いてみようかな。

 やっぱり会場で観るプロレスは,TV中継とは違う趣があります。札幌に住んでる間は,なるべく観に行きたいものです。今回 の観戦も大満足でした。

(文責:山杜一平)


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